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257:蛹 / :
蛹(Long Version)
[秘密 其ノ一]
それらは概ね ハネツキアタマのアノ子の帰りを待つ わたくしどもが
デタラメに吹く口笛を薄くのばして作った風車でありますゆえ・・・。
マァ、「虚飾は最上級」とでも申しますか・・あはは、うふふ。
くるくるクルクルくるクル来る来る繰る繰るくるりん
廻る風車
嗚呼、マタ帰ッテキタ。
『おかえりなさい』
[秘密 其ノニ]
尾のない赤い目をした子犬が彼らに問う
(そうそう、これも『お月サマが照らしてくれた秘密』なのですが、)
「それは羽かしらん?」と。
ほうき星に導かれてここまで来たんだと・・・。
くるぅり まわる 風車は折れた
[アノ子何処ノ子]
人恋しい 恐れのお山で僕は産声をあげました。
カタカタ・・・風と風車、調律はお好みで。
母様は音の無い人で 泣けども 泣けども
爪かじり 飛びまわっていた。
『帰依』だとおっしゃっていた。
「残月にお祈り。」
「寄らば大樹の陰だね!」
「そう(笑)。誰よりもずっと、優しくされたいのでしょう?」
ラ〜ララ〜と貴方は言う。舌を回しながら。
千の目が怖くて
泣きながら月にお祈りした。
〜青より白濁 白より蒼い天上の月光を以って初めて
鮮明に浮かび上がる千の羽を頭に縫い付けた結果〜
地よりも低い空へと昇りましょう。
『君が』
「綺麗ナー。」と、母は見てくれた。
ひらひら ひらひら 千枚羽
相も変わらず唄を歌う。でも音が無いね、母様。
震える銀の波
祈り・願いの代償=ズルリと頭から伸びていく
母は笑っていた。
『月へと伸びていく母を追いかけて泣き叫ぶ僕のうしろで
ハネは静かに・・ただ静かに・・ゆれていた』
ああ・・風車はカラカラと音をたてて流れていく・・・
流れていく・・・。
微笑みだけを残して。
赤い空の窓に消えていく母を呼ぶ。
唄を歌った 咽がかれるほど。
幼き歌声をのせた 月の雫は
降り注ぐ光のおびに溶けて星になる。
つよく ねえ・・そう高く背伸びしたよ お月サマ
空へと落ちていく
『アラマア、お帰りなさい。』
ハネ ハ ハエマシタ?
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